春と修羅

 これは、宮澤賢治が残した代表作の詩集の題名です。この詩集の序にあたる最初の数行が
私の人生の明暗を分けてくれました。
 この頃、賢治がなぜこの題名をつけたのか、考えるようになりました。私の勝手な解釈ですが、人の一日あるいは一生は、春のように幸せで穏やかな時と、修羅で代表される苦しみや悩みの時の連続帯であり、だれでもがこの矛盾を抱えていると言いたかったのではないのでしょうか。
 自分の一日を振り返っても、毎日そうだからです。ただ、ありがたいのは、賢治を知ってから、私は自分の中に長い間眠っていた魂の存在に気づかさせてもらったことです。そしてそれを最優先にして生きることが、自分を持続的な春のような気持ちに導いてくれ、元気の源泉にたどりついたと実感させてくれました。
 人間である以上、日々葛藤があるのは仕様がありません。でも天と唯一つながっている自分の魂の声に耳を傾け、それを生活の中で実践しないと、自分の中に春がめぐってこないのは確かです。