ご冥福

 昨日の真夜中に電話があり明け方に、夫の母が亡くなりました。97歳でした。戦争時代を生き、古い大家族制度の中で、四人の子供を育て、農業に従事し、典型的な昔の母親でした。
 夫の父も九十歳以上生き、今頃向こうで再会を喜び合っている事でしょう。今日がお通夜で、翌日がお葬式なので、私に後を託して出かけていきました。本来ならば私も行くのですが、仕事が生き物故、二人で出かける事が出来ません。お許し願って、遠く茨城から母のご冥福を祈らせてもらう事にしました。
 この平飼い養鶏の自生農場には、鶏の緑餌として大きく育つジャワほうれん草があります。これは人間の背丈以上に大きくなり、運動場に葉を放り込んでやると、鶏は喜んで食べます。夫が子供の頃、夫の父は農業の傍ら鶏を飼っていて、鶏小屋も自分で建て、このジャワほうれん草を緑餌としてやっていたのだそうです。そういえば、昔は屑米やぬかや野菜のくずなどがもったいないので、その活用として鶏を飼っていた家が多かったです。実家に帰った時、夫はこのジャワほうれん草の種をもらってきて、毎年自生農場にもジャワほうれん草がお目見えするようになりました。今日は、亡き父の形見とも言えるほうれん草を、今年はちょうど役目を終えたので、二人を偲びながら片付ける事にしました。夫が、生業に養鶏を選んだのも、案外子供の頃の影響もあるやもしれないと思い、見えない糸を感じました。