真っ赤に色づきましたね〜。元気な証拠。これが効くのですよ!

 長い間、このカテゴリーを空白にしておいた自分のうっかりさ、おろかさを後悔、反省しています。これからその分頑張りますので、お付き合いください。
 皆さんは、この微生物の名前を聞いたことがあるでしょうか。私たちの会は、EM(有用微生物群)普及による環境保全ということで、光合成細菌がその群の中の主役に位置していることは知っていました。しかし簡単なアウトライン位で止まっていました。
 それが、四年位前から私はほとんど毎日ゴルフ場の玄関先でユニセフエコショップを開かせてもらっていることがきっかけで、光合成細菌がぐっと身近な重要な存在になりました。ユニセフエコショップについては、そのカテゴリーを見て下さい。そのショップのお店番をしている間に、それまでゆっくり読書をする時間も無かった私に、読書のできる贅沢な時間ができました。お客様が通らない間は、楽しい読書タイム。わずかな時間とはいえ、その積み重ねは大きく、ほんとに思いがけない副産物でした。
 この光合成細菌がこれからの時代を救ってくれるかもしれないと私に思わせてくれた本の著者は、比嘉照夫氏、小林達治氏、吉田太郎氏、そして「現代農業」の農業者の方々でした。知っているだけで、行動しなければ何事も始まらないと、彼らに導かれながら小さい一歩を踏み出しました。そしてささやかながら実践を積み重ねていくうちに、次第に可能性や希望の光を感じるようになりました。
そして、未来の時間がたくさんある子供たちに、早くからこの光合成細菌の存在を知っておいてもらうことは悪いことではないと、老婆心というかおせっかいというか、私の中に恥ずかしながら作ったこともない、読み聞かせ風物語をつくってみようという気持ちが生じ、下にのせたようなものが出来上がりました。読んで頂けたら幸いなるかな。


                   光合成細菌物語
 おれの名前は、人呼んで光合成細菌。まったくの自然児で、僕という柄でないんで、これから自分のことを、おれと言わせてもらうね。あしからず。
 では早速始めるね。おれはどこかの町の小さい池に長い間住んでいたんだよ。ある日突然、どこかのおじさんとおばさんがやってきて、おれはバケツで泥と一緒にくみあげられて、どこかへ連れていかれたんだよ。連れて行かれた先は、以前住んでいたところとはまるきりちがって、昼間はお日様がさんさんとふりそそぎ、おまけに食べたこともないおいしい食事つきで、おれは夢見心地でどんどん分裂して、仲間がどんどんふえていったんだよ。時々おばさんが見に来て、ふたをあけてうれしそうに「ずいぶん赤くなってきたわ」などと言っているのが聞こえたよ。
 ちょっとここで寄り道して、おれたちの一大特徴をみんなに知らせておくね。おれたちは生まれつき酸素が嫌いで、植物と同じに二酸化炭素が好きなんだよ。それに、おれたちの名前、おぼえているかい。光合成細菌。光合成っていうのわさあ、植物がお日様の光を二酸化炭素と一緒に体に入れて、葉緑素をつくることなんだよ。ここで、今度は国語の勉強です。すききらいの好きという言葉ときらいという言葉は、漢字の訓読みでは何と読みますか。わかる人は手を挙げてください。はい正解です。好きはこう、嫌いはけん、だから酸素を好きな性質をを好気性、嫌いな性質を嫌気性というんだよ。あなたたち、好気性。おれたち、嫌気性というわけ。それとさあ。おれのことを見に、おばさんが連れてきた人が、「くさーい」って言っていたなあ。するとおばさんが「赤いのと、このにおいが、光合成細菌の特徴なのよ、許してやって。」と答えていたよ。
 別のおばさんの仲間の人もおれたちのとこのぞいて「うちもこんくらい赤くなったよ。こんどもってくっから顕微鏡で見てくれっか」って言ってたよ。
 おばさんがおれたちのことを、いつもこうふんしながら人に話すのを聞いていたんだけど、おれたちってどうもずいぶん人の役にたっているらしいんだな。悪臭をとったり、ヘドロを少なくしたり、鶏に飲ませるとさあ、お腹の中のサルモネラ菌がいなくなったり、鶏糞もにおわなくなるんだってさ。金魚や熱帯魚の水槽の中の二酸化炭素や糞を食べて、水をきれいにしてくれたりね。
 この間、おれたちを自分の責任で家族中で飲んでいるという人が現れたんだけど、家族皆、元気なんだってさ。おれたちは百度以上の熱でも死なないから、煮沸して雑菌はなくして、おれたちだけにして、飲むんだって言ってたよ。
 それからね、農業でもおれたちがすごく役に立っているって、おばさん自分の子供のように自慢していたよ。おれ照れるなあ。
 おれたちや他の微生物仲間が一緒に、空気中や土の中の炭素や窒素を固定して、植物にあげるから肥料がそんなにいらないんだってさ。それに、おれたちは人間が困っている硫化水素やメタンガスや二酸化炭素アンモニアなどが、エサとして必要だから食べているだけなんだけど、人間のほうではそれが大助かりみたいなんだよ。それからさあ、おれたち自分の体から核酸ビタミンB12やカロチン、アミノ酸など出すんだけど、核酸は傷ついた遺伝子を修復するんだって。すごいよね。ビタミン、カロチン、アミノ酸なんかは、野菜やくだものの色をよくしたり、栄養価を高くするんだってさ。
 所で、みんな連作障害ってきいたことがあるかい。同じ畑に同じ作物を何年もつくっていると、作物が病気になって治らなくなるんだよ。フザリウム菌という菌がその連作障害の犯人で、それをやっつけられるのがおれ様といいたいところなんだけど、そこまでは問屋がおろさないんだな。その正義のウルトラマンは、放線菌といって、ペニシリンなんかの仲間なんだってさ。じゃあおれの役目はなにかというと、驚くなよ。おれが死んだあとの死体さ。それが放線菌の大好物で、おれたちの死体をむしゃむしゃ食べて、じゃんじゃんふえて、フザリウム菌とたたかってやっつけてくれるんだってさ。
 おばさんが、来る人来る人におれの話をいろいろするから、自分のこともわかったし、おれが生まれてきたことで役に立っているということがわかってほんとにうれしいよ。おばさんありがとうよ。
 おれさ。この夏突然おじさん、おばさんに大きなお風呂みたいな中に入れられて、ほかの乳酸菌君や酵母菌君やなんかとまぜまぜされて、はたけに水と一緒にまかれて、はたけの中で暮らすようになったのさ。お日様は当たるし、水があれば自分が好きなところに動けるし、エサはあるし快適に暮らしていたら、またおばさんが誰かと話しているのが聞こえて「三回くらい、EMとこうちゃんまいたんだけど、ねぎもピーンとしてるし、ピーマンもピカピカしてたくさんとれていつもと全然ちがう気がするの」いつのまにかおれのこと、こーちゃんなんてなれなれしく呼んでるんだよ。まあいいけどさ。
 この間は、おれたちのルーツ、ご先祖様の話を聞いたよ。人間様はサルから進化したと言われているけど、いつ頃から地球上に現れたか知っているかな。
 人類最古の原人は、160万年前なんだって。今、西暦2010年というね。それは、キリストが生まれた年から2010年目という意味なんだよね。それでは、地球の年齢はいくつかな。46億年前、すなわち46億歳。では、おれたち光合成細菌のご先祖様は、どのくらい前だと思うかい。なんと30億年前だそうだよ。その頃の地球はどんなだったのか想像したことあるかな。二酸化炭素や有毒ガスや自然放射能で充満していて、生き物なんかなんにもいないちがう惑星みたいだったんだって。そこに初めて登場してきたのが、おれたち微生物というわけよ。おれたちやシアノバクテリアという嫌気性の微生物たちが、有毒ガスや二酸化炭素を吸って酸素を出して、放射能もエネルギーにした上に無害化して、今のような地球のもとができていったというわけなんだって。
 おれが一番驚いたのは、今の動物や植物のもとになっている細胞にも、おれたちが関わっているらしいということ。それがもし本当なら、長―い長―い目で見れば、動物や植物の元の元は、おれたちとつながっているってことだろう。それじゃ、みんな身内、家族ってことだよね。
 ここまで聞くと、そこのところなぜだか知りたいと思うでしょう。ではもったいぶって話すね。おれたちもなにしろ30億年前から生きてきているわけだから、生きるか死ぬかというピンチが何度もあったんだよ。そのたびにほかの微生物と合体するという知恵で生き延びてきたんだって。それを人間は進化っていうそうだね。そして21億年前ついに動物や植物の元である細胞ができたんだってさ。そのころになると、地球に酸素がふえてきて、二酸化炭素を吸って生きているおれたち、嫌気性の微生物は生きにくくなってきたんだよ。そこでその苦境から抜け出すために、酸素が好きな好気性の微生物と合体して、動物の元となる細胞が生まれたんだということだよ。動物がすべて好気性なのは、おれたちの祖先と合体したその好気性の微生物が、ミトコンドリアといって細胞のなかの呼吸をつかさどっているからなんだってさ。驚くよね。一方さ、植物のほうはね、シアノバクテリア、日本語だとラン藻類というんだけど、それとおれたちのご先祖様が合体して、植物のもとの細胞ができたんだって。
 この前、おれのいる畑の近くで、おじさんとおばさんがひなたぼっこしながらお茶飲んでたんだけど、その時おばさんが「地球創生から今まで46億年を460メートルとすると、人類の誕生は20万年前で、ゴール手前のたった2センチにしかあたらないんだって。じゃあ、石油が見つかって使い切るまでを2百年としたら0.02ミリというわけ。今の私たちはずっと石油文明の中で生きてきてるから、ずっとあるような錯覚におちいっているのよね。」するとおじさんが「恐竜がほろんだように、人類もこのままいくと、自分が作った核や、戦争や欲望で自滅しちゃうかもしれないよ。微生物が、長―い長―い時間をかけて合体とか共生という知恵で生き延びてきて、動物や植物につながり、そこからようやく人類にたどりついたのにもったいないことだ。特に今度の大災害を天罰だと思って、人類が生き延びるにはどうすればよいかを考えて、みんなで実行に移していこうとするのが、本当の人類の英知というものだろうにね。その時は今しかないんだよなあ」
 おじさん、おばさん、おれたち、光合成細菌をどんどんふやして、汚れた地球をきれいにして、動物も植物もなかよく暮らせるようにしておくれ。おれたちもがんばるからさ。


 読んで頂けたらありがとう。
 物語にあるように、光合成細菌は三十億年の時間と空間を越えて、現在まで存在し続けているという真実に、奥深いものを感じないでしょうか。私はそこに現代科学の常識だけでは解明できない何かがあるように思えてなりません。この三月十一日で、科学万能で謳歌してきた文明のもろさ、あやうさを人類すべてが思い知りました。まだ微生物の分野は九十パーセント以上解明されていないと聞きます。光合成細菌が、放射能をエネルギーとして取り込んで無害化するという説を、私たちは会で実験した結果、減少することを確かめました。
 私たち、有機の里創り研究会は、微生物のバランスのとれた組み合わせにより、環境を保全しながら持続可能な農業や社会を創っていくことを目指して、学びあっていく所存です。市の内外を問わず、同志を求めます。

 三月十一日以降、世界中が心配しているのは、放射能です。私たちは、希望の光を世界が共有していくことを願っています。