パラダイムシフト

 皆さんは、この言葉をお聞きになったことがあるでしょうか。私は、相当の年齢になってから知りました。随分前のことですが、茨城の有機農業研究会で、なぜか私も話をする人の一人として頼まれて参加したことがありました。私は、もうお分かりでしょうが、もちろん宮澤賢治の話をさせていただきました。
その時、別に話をされた方から、このパラダイムシフトという言葉を聞いて、ものすごくショックを受けました。
 パラダイムシフトとは、思想の枠組みや科学上の概念などの根本的転換を意味し、それまで正しいとされていた既成の事柄が、そうではなかったという価値観の逆転を意味します。天動説から地動説への変化は、典型的な例だそうです。
 この言葉を教えてくれたのは、筑波大学の生命環境研究科で長年独自の教育論を展開してこられ、自分の意志をもって生きていこうとする人材を、多数社会に送り出した橘泰憲先生です。
 私は、この橘先生に、長い空白期間を経て、ウーフ(WWOOF)という制度で、私共の自生農場にきた,先生の教え子でもある筑波大の学生さんを通して、つながりました。その後、お互いの本のやり取りをしながら、私は先生のライフワークの真髄や、宮澤賢治も先生の重要なテーマであることを知ることができました。そして、私が四冊目の本を出すとき、ありがたいことに、先生に前書きの「出版に寄せて」という一文を書いていただきました。
 そのようなご縁から、筑波大を退官する際、私共の会の拠点でもある「私の宮澤賢治かん」に、先生の沢山の蔵書を寄贈頂き、かんの一隅に立派な文庫ができました。
 その約一年二、三か月後に、あの恐ろしい天災、人災が起こりました。今こそ、パラダイムシフトの時機ではないでしょうか。

 先生は、退官後「青年哲学塾」を開講し、パラダイムシフトを世に発信し、後進の啓発、指導に当たっておられます。関心のある方は、ぜひ受講してみてください。