とりあえず

 私の四冊目の本の題名は「とりあえず症候群のあなたに」といいます。かつての自分も含めて、生き方が確立しないままとりあえず生きているうちに、陥ってしまう諸々の病理現象を指すのですが、原発の問題も、安全神話をうのみにして、とりあえずずるずる許容してきた結果が招いた人類の汚点ではないでしょうか。
 そして、その後始末も、根本的な解決法はなく、とりあえずの対策ばかりです。
 どこもかしこも、とりあえず、何をするのもとりあえずの中にあって、とりあえずではないさわやかな国がありました。ブータンです。自分の立ち位置がはっきりしている国、ブータン。世界中が経済ばかりを追い求めている中にあって、国民の安心を第一義に置く国、ブータン。現実にそういう国があるのですから、日本も目に見えないがんじがらめのくびきから解き放たれて、先ず原発を廃止するという決断をする勇気を見せてください。国民はきっと国を見直し、そこに信頼が生まれるでしょう。