原子力発電

 ピース・エコ・ショップでお店番をしながら、読書の習慣がついてありがたいのですが、日ごろ気になっていた原子力について、科学に弱い私でもわかるように書かれている文章を発見して、二、三日前に読んで、その恐ろしさと人間の浅はかさに慄然としました。
 そこには核分裂の燃料ウランについての説明があり、これは、原子の中心にある原子核を操作するもので、1938年ドイツの化学者、オットー・ハーンによって発見されたとか。
 核分裂の燃料ウラン(U235)の原子核は、92個の陽子と143個の中性子からなるそうです。そこに中性子があたると、原子核は2つ(AとB)に割れ、莫大なエネルギーが放出。その熱量は、火力発電で出る「化学反応」の熱量に比べて1億倍にもなるとか。これは、核分裂反応の利点でもあるが、制御しそこなうと、今度の事故で明らかなように、悲惨この上なしです。
 そしてこのU235は、天然ウランのわずかに0.7パーセント。それには、大掛かりな採掘をして、大量のくず石を出し、精錬、濃縮、加工など、何段階もの過程を経て、はじめて原発の燃料が出来上がるのだそうです。
 前述したAとBは、核分裂した時の生成物で、多くの危険な操作を伴いながら、高レベル放射性廃棄物としてガラス固化体の中に処理され、地中深く埋められます。
 それが、もうすでにガラス固化体に換算して、2万1300本、54基の原子炉が稼働すれば、2020年ころまでには約4万本相当とか。この処分には、約3兆円の費用が見積もられているそうな。そして、地震国日本で、これだけの大量のガラス固化体を安全に保存できる保証はまるきりありません。全て負の遺産です。
 日本の原発は、半世紀前、放射能の廃棄物についての何の見通しもなく、見切り発車してしまった、このずさんな政策の付けが今「トイレなきマンション」という大きな困難となって、国民の上にのしかかっているという現実に私たちは直面しています。
 確かウランの半減期は、セシウムの30年とは、比べ物にならないほど長かったと記憶しています。この後調べましたらなんと7億年でした。
 この頃、元気が出ないのは、余りの問題の深刻さゆえでしょうか。