会の便り

 私たちの会は、年に一回全国にいる会員さんに便りをだし、一年間の活動報告や会計報告をしています。今年度で24号を数えます。今年が平成24年ですからなんと覚えやすいことでしょう。
 このブログは、会の部会である「有機の里創り研究会」で発信していますが、部会誕生の経緯は、左のカテゴリーの中にありますのでそれを読んで頂けたらありがたいです。
 昨年の3/11を契機に、それまで部会で取り組んでいた光合成細菌が放射能を減少させるということで、有機の里創りの理念である「次世代のため、元気、安心、希望を与える住民参加」が、この危機的状況に最も必要だという気運が高まりました。
 その後も、国でもどこでも放射能は、根本的解決が示されないまま、「どかして保管」という除染ならぬ移染がまかり通って、現在に至っています。
 今回の会の便りは、根本的解決法の一つとして、光合成細菌をとりあげ、できるだけ生ごみの自家処理や農業などを通して一人一人が実践することで、放射能を減らし、安全な社会を構築し、各地に有機の里を創ってほしいという願いが込められています。
 一人でも多くの人に読んでもらいたく、現在載せられるものだけでも載せますので、コメントなど頂けましたらありがたいです。また、入会して一緒に活動していただけたら、なおさらありがたいです。

          光合成細菌を使って
                           猪瀬 恵一

今から二年前の2010年の時だったと思います。猿島野の大地を考える会の代表の小野賢二さんから、光合成細菌の話を初めて聞いて、光合成細菌て一体何だろうと思いました。色々と本を見たり、とにかく興味本位でいました。
そんな時に、栃木県にお住いの猪熊さん宅に見学に行こうと、小野さんに誘われて、会の有志で行くことになりました。
丁度田植えが終わり、六月ごろだったと思います。猪熊さんの田んぼでは稲も青々として背丈が40センチ位になっていました。両隣の稲は、まだ30センチ位の背丈でした。伸び方もずいぶん違うかなと感じました。
彼の自宅にもどり、光合成細菌で作ったコシヒカリのおにぎりを御馳走になりました。とても粘りがあり、ご飯が光っていました。とにかくおいしかったです。猪熊さんの話によれば、稲を元気に育てれば、病気や虫の害にかかりにくいということでした。無農薬農法で作っているとのことでした。農業に対して大変熱心な方です。
さて、光合成細菌の話ですが、自分も色々と試すために、去年は妻の実家の田んぼに、コシヒカリ50アール(5反)とモチ米30アール(3反)に、10アール(1反)当たり光合成細菌、5リットルから6リットルを投入したり、自家用の野菜にも使ってみました。トマト、ナス、キュウリの土中に流し込んだり、葉面散布も行いました。結果は上々でした。トマトは甘く、赤みが強く、実も大きくできました。なすは、特に根の張りがよく、実もずいぶん沢山なっていました。キュウリは、すごく食感が良く、甘みがあり柔らかでした。
今年は、ネギ、ジャガイモ、トウモロコシ、スイカ、ショウガ、キャベツ、ナス、トマト、ピーマン、キュウリ、つる有りインゲン、ラッカセイを作りました。これから光合成細菌に働いてもらいたいと思っている所です。良い結果が出れば、農家に少しずつ話をして、稲や野菜などに使ってもらえるように勧めていき、少しでも安全、安心な農作物を作っていってくれることを願っています。
後付けになりましたが、米の結果ですが、コシヒカリは平均約7俵でした。くず米は、よそ様のよりは少なかったように思われます。特に良かったのがモチ米でした。30アールでくず米が4袋しか出ませんでした。10アール当たり8俵でした。去年は、特に実が付く時に気温が上がりすぎて、稲に悪い結果が出ました。そんな中でこの位の結果が出たという事は、光合成細菌を使ったためと思われ、上出来といかないまでも、それなりの効果はあったと思います。
 
     光合成細菌を主体とした、放射能除染の取り組みについて
                        宮城在住    後藤 国夫
 理由がどうであれ、結果的には23年3月11日の福島第一原発事故は、日本中に大きな被害をもたらし人類最大の事故となった。
 発電所周辺の住民は、おそらく、永久に元の生活を取り戻すことはできないだろう。
何が何だかわからない中に、住民自身の責任でもないのに、村を追いだされ、本人が希望する生活はできなくなった。
 幾代も故郷の自然を守りながら営々と、営農を続け、家族を養ってきたが、あの日以来、全く不可能になった・・・・。 この地域で、稲作を初めとして農耕作業が出来ないという事は、経済的ダメージばかりか住民の精神的ダメージは計り知れない。
 今年の二月から調査している南相馬市の水田の放射能レベルは(23年11月14日)セシウム134が1408Bq/h kgで、セシウム137が1722Bq/kgで、合計が3130Bq/kgである。玄米の安全基準値が100Bq/kg以下であるので、移行係数から算出して水田土壌は1000Bq/kg以下でなければならない。南相馬市では、1000Bq/kg以下の水田は皆無に等しい。市内の水田面積は、約8000ヘクタール。
 このような条件の元に、24年4月27日、南相馬市鹿島区浮田で、汚染水田の除染試験を開始。面積は30アール(3反)を3区画に分け、1区画は無処理区、2区画は光合成細菌、他の微生物、マイカ(雲母)、植物酵素の施用量を変えて実施した。
 放射能に汚染された土壌の除染法として現在精力的に取り上げられているのは、「剥ぎ取り」や「濃縮」して隔離する方法である。これらは、放射能を消滅させるということではなく、あくまでも暫定的な技術である。
 我々の今回の試験目標は、放射能を安全なレベルまで低減させることにあります。
 その具体的な方法は、①4面体と八面体の層状を持っているマイカで捕獲する。②酸素の嫌いな嫌気性の光合成細菌に、セシウム137の放射能をエサとして与える。③数十種の在来菌やこうじ菌、納豆菌、乳酸菌、酵母菌で水田の土壌菌を増殖させ、稲体を健全にして、外部からのストレスを防ぐ。というやりかたです。
福島原発から放出されたセシウム137の量は、4,680g~10,920gと発表されています。その中で、南相馬市の水田に降り注いだ放射能の量は、3000Bq/kgですので、㎡当たりにすると300,000Bq/㎡になります。1Bq=0.312Pg(ピコグラム)ですので、㎡当たりのCs137の量は300,000×0,312pg=93,600pgで反当たりにすると、93,600×3,3坪×300坪=92,664,000pg=92,664ng=0,092664mgとなります。この量は、耳かきで2〜3杯ほどです。これが水田にまんべんなく拡散していることになります。しかも放射能核種の大きさは0,0006ミクロン、微生物の大きさは2〜3ミクロンです。
空気が乾燥すれば土埃と共に空中に舞いあがり、風が吹けば四方に飛散し、降雨になると水に溶けて流れてしまいます。「剥ぎ取り」や「洗浄」したくらいではなくすことができないのです。それほどに放射性物質は、いうなれば地球上の「魔物」なのです。
 
 生ゴミ光合成細菌の出会い
                  
                   ゴミ関心部会 四季の会  平勢恭子
 小野さんの農場に週一で通い始めて、早や十数年、遅まきながら環境問題にも目を向ける様になりました。中でも生ごみの重さとその焼却費用の莫大な事に驚き、少しでもゴミの減量化に貢献しようと、生ゴミ処理機を使って乾燥させてから捨てていました。
 昨年の大震災後、節電が叫ばれる毎日。そんな折、小野さんから、生ゴミ光合成細菌を吹きかけて試してほしいと提案があり、忙しさを理由に野菜作りも出来ない私は、只生ゴミ光合成細菌をかけては、毎週その蓋付きのバケツをせっせと小野さんの所に持って行きました。
 光合成細菌の話は、それ以前からお聞きしていましたが、実際どのような効能があるか想像がつきませんでした。ところが、あの猛暑の中で一週間経っても、生ゴミは腐敗臭を発しなかったのです。光合成細菌そのものは、鼻が曲がりそうな何とも言えない臭いなのに・・・。又、光合成細菌には、放射性物質を軽減する働きもあるそうで、今まさに注目すべきものなのです。
 まだご存知のない方も是非お試しください。小さなところから少しずつ変えていけたらと思っています。
フォーラム開催の趣旨と未来への抱負
                          寺田いく子
昨年十月末頃、大好きいばらき県民会議から「平成23年度コミュニテ―協働事業の実施について」というお知らせが届きました。県民会議では、市民、企業、NPO等の多様な担い手による「新しい公共」の仕組みづくりを推進しているとのこと。この度「地域の課題は地域で解決する」「自分たちの地域は自分たちで良くして行こう」という自主的、主体的な取り組みを一層活性化させるため、地域の諸課題解決に向け、地域活動団体同士が協働で取り組む事業に対して女性することで、団体同士のネットワークの強化と地域の活性化を図る「平成23年度コミュニテ―協働事業」を実施するとのお知らせでした。
そして、「四季の会」と「坂東市くらしの会」が協働で、次世代のため、元気、安心、希望を与える住民参加で、「生ごみのリサイクル」をしようということにしました。これまでは、可燃ゴミとして焼却され、其の焼却代の高い比重を占めていた「生ゴミ」を燃やすのはもったいないので、光合成細菌を使って自家処理や堆肥化をして活用する事を県に提案、これが県で採択されました。
これにより、坂東市支援でフォーラムを開催し、一応の成果は得られましたが、これを契機に平成24年度は、学校や地域で「光合成細菌が放射能を減らす」という根本的解決法が市民権を得られるよう、そして坂東市独自のバイオマスタウン構想が発信できるように、つなげていきたいと思っています。
 
 厳冬下のレタスと地温
                           荒井 佳子

今年の冬は日本海側での豪雪の影響か、茨城も毎日冷蔵庫の中にいるような厳冬でありました。
去年の秋に定植した坂東市のレタスは、「トンネル」という名の小さなビニルハウスをかぶせても軒並み生育不良という声が聞かれていました。どんな作物も日照と温度が不足すると育たないのですが、今冬はまさにそのとおりでありました。
おかげで葉物野菜は全般に高値になっていました。作物の生育が遅れて出荷時期も遅れていましたし、育ってもサイズが小さいので市場に対して絶対量が供給でき得ませんでした。農協に出荷されるものはS玉M玉ばかりで(高値がついていたので、小さくても前倒しに出荷してしまう農家もあったのですが)L玉LL玉は非常に少ない状況でした。
しかしながら我が家のレタスたちは、あの寒波の中にあって順調に生育しL玉以上を出荷し続けることが出来ました。そこで、その理由を考えてみました。
他の農家さんと比べてみると、天候と気温の条件は一緒です。違うのは「地温」なのではないかと思い当りました。我が家の畑では、米ぬか・魚かすなどをブレンドしたEMボカシを施肥しておりました。EMボカシは微生物の活動によってジワジワと発酵し続け、発酵熱を放出し続けます。この地温が日照不足と極寒下のレタスの生育を助けたのではないかと考えました。
さらに、今冬は捨てるレタスが1日1個あるかないかという悦ばしい状態でありましたので、作業と圃場効率にも効果があると感じております。
私どもは研究者ではありませんので経験則でしか判断しかねますが、五風十雨のリズミカルな日本の気候が不安定になっているからこそ、発酵の力を農業に加えることは非常に意義があるのではないかと感じました。
元気、安心、希望の光を
                              小野 羊子
日本の根幹を揺るがす大事から、日本中に暗雲が立ち込め、何の希望の光もささないまま一年以上が経ってしまいました。
私達の会は、二、三年前から「次世代のため、元気、安心、希望を与える住民参加の有機の里創り」という基本理念に則った、国も推奨している「バイオマスタウン構想」の作成、実現を願って、坂東市に三通の要望書、千名を超えた署名などを提出し、市長にも有志で面会し、働きかけてきましたが、積極的な反応は得られませんでした。それが反対に会のエネルギーを掻き立て、行動の気運が高まり、昨年の四月に会の部会として「坂東市有機の里創り研究会」が発足し、月一回の定例会も一層熱を帯びてきました。この研究会と同じ名前で、若い会員さんにお膳立てをしてもらって、ブログも起ち上げました。出来るだけ更新していますので、開けて頂けたら幸いです。
それまでも特に熱心に取り組んでいた多様な能力を持つ光合成細菌が、3/11の後、放射能を低減させるという根本的な解決力も有しているということで、ここにこそ元気、安心、希望の光があり、待ったなしの時代の要請であると確信し、会として三回、市の測定器で調べ、減少を確認しました。
そんな折、県から地域の課題は地域で解決という「コミュニテ―協働事業」の募集がありました。二つ以上の団体という条件でしたので、以前バイオマスタウン構想の趣旨に賛同し、入会してくれた「坂東市くらしの会」の会長さんに話し、私達の会のごみ関心部会である「四季の会」と協働で、「光合成細菌を主体とした生ごみの自家処理と安全な社会創り事業」という題名で応募しました。この事業のヒントは、四季の会で、暑い夏をはさんでやった光合成細菌による生ごみ処理実験の好結果でした。幸いにもその事業は県で採択され、私は光合成細菌による放射能減少という事も同時に公認されたと重く、うれしく受け止めました。市からも支援を受け、フォーラムを開催しました。会員の自発的な協力のお蔭で、六十名以上集まって下さり、後に賛同して会員になって下さる方も出ました。又、この県の助成と猪瀬会員の資材の無償提供と労働奉仕で、光合成細菌を培養するビニールハウスが立派に完成、良質で量産ができるようになりました。今年度の目標はこの希望の光を坂東市から発信する事です。
私達の会の定款に「宮澤賢治的世界観に立って、世界的規模の問題に対しても、自分の足元から根本的に解決する路があることを社会に示し、平和的な輪を広げていくことを趣旨とする」とあります。私達の会がこれまで環境保全のために普及に努めてきたEMは有用な複合微生物という意味で、光合成細菌はその中の一つで、主役の位置にあります。この光合成細菌を初めとする有用な微生物を生活や農業に活かしていくことが、これからどこにあっても次世代のために欠かせません。会では、光合成細菌液を会員にはお安くお分けします。ブログに「光合性細菌物語」が載っていますので、理解して頂いた上で、「どこでも地球の庭」ですので、普及にご協力お願い致します。

平成23年度の活動及び会計報告(平成23年4月〜平成24年3月)
 この年度も、皆様の熱き支援に背中を押され、会に諮った上で、会の定款変更という大変なことに取り組みました。不向きな私にとって曲がりなりにも終わって、やってよかったと胸をなでおろしています。
 会の事業の大きな二つの柱の一つ、「ユニセフ・エコ・ショップ事業」を「ピース・エコ・ショップ事業」に改名したこと。もう一つの柱である「EMによる環境保全」を「EM等、有用微生物普及による環境保全」と改めたことです。
 平成六年、個人的に物と時間がもったいなくて、ユニセフが頭に浮かび、ショップが始まったのですが、皆さんのたゆまぬご協力で、今では会の大きな柱に成長し、ユニセフという限定された名前では会の不変的な理念に合わないと、常々気にかかっていました。又、環境保全にはEMに限らず、あらゆる有用微生物の存在が不可欠で、国難にある現在、その関与と活用が急務です。
 そして、この二つの事業を有機的につなげ、循環させることが世界平和のあるべき姿と想定し、昨年度からピース・エコ・ショップの収益金の一部を、環境保全のための研究費として使い、その残りは会の収入に入れていますのでご了承ください。そのお蔭で、光合成細菌の培養と普及が進展し、両者のつながりが密になりました。これからも、会の趣旨を御理解の上、ご協力と各自の実践を切にお願いいたします。