米のとぎ汁

 「捨てるものなし」の親分格をうっかり忘れていました。それは、日本中の大部分の人が毎日何気なしに排水に流している米のとぎ汁です。私が子供のころは、よくお年寄りがそれを植え木などにあげているのを見ていたような記憶がうっすら残っています。
 でも自分が親になって、忙しくしていた頃は、当たり前にお米を研いでは大きな顔で流していました。
 私のほうは宮澤賢治によって生き方が確立し、夫はライフワークとしての自然卵養鶏にたどりついた年齢になって、ようやく手に入れた農場がゴルフ場建設予定地に入り、反対を表明し、環境問題に開眼させてもらったお陰で、全くそれまでとは違った人生を歩んで来ることができました。
 米のとぎ汁が排水を汚すという事実を知ったのも、官民一体で町の将来を考えて、住民参加で町をよくしていこうというロマンを追う悦びを味わえたのも、この延長線上でした。
 EM(複合有用微生物)を知り、そのまま流すと汚泥や悪臭の原因になる米のとぎ汁が、EMと合わせて発酵液にすることで、すべて生活に有効活用できることがわかり、行政に働きかけて、「米のとぎ汁流さない運動モニター制」を旧猿島町の頃から現在まで会の委託事業として、ずっと続けています。
 平成23年度に採択された県のコミュニテー協働事業を一緒に応募した「坂東市くらしの会」のたくさんのメンバーが、今度このモニターさんと光合成細菌による生ごみ処理をやってくれることになり、心強い限りです。捨ててゴミになっていたものを、反対に知恵で「捨ててはもったいないもの」に変えていく流れが、坂東市から生まれることを切に願っています。