整理

 「整理することから、人は二倍の力を得る」私の大好きな、賢治の語録の一つです。
 頭の整理、気持ちの整理、物の整理、すべてに当てはまると、私は実感しています。昨日の元気の源は、その点が自分の中で自分なりに片が付いているかではないでしょうか。
 この頃「かたずけられない症候群」という言葉を耳にします。大量生産、大量消費、大量廃棄の現代文明の中で、自分の生き方が確立していない人は、文明に踊らされて、物の中にうずもれてしまいがちです。
 昔は、文明の利器がありませんでしたから、すべてが手作業で、少量生産でしたから、物は貴重で捨てるのはもったいない、最後まで使い切るというのが当たり前でした。また、保存もままならなかったので、知恵を駆使して自然界にいる見えない微生物の力を借りて、発酵の技術から酒やみそ、しょうゆ、漬物などの日本独自の食文化が生まれました。ほんとに先人の足跡に頭が下がります。江戸時代は、人間のし尿まで、野菜やお米と交換にお百姓さんが肥料として活用して、江戸の町は整然としていたそうです。
 現代と対極の、少量の生産物を大事にとことん活用し、ほとんど捨てるものはなかったし、その物が今のように何が入っているか疑わしくなく、本物であったということが、すごいことだと思います。
 この昔の日本人の核にあるのは、自然への畏敬と感謝の念からくる「もったいない」という気持ちだと思います。私の中にも、いつの間にかこのもったいないが住み着き、すべてはここから派生していると感じます。
 今日も、もったいない、もったいないで忙しい一日が終わりました。ありがとう。