母から子へ

 私の母は現在九十四歳で、一年ほど前からとてもいい老人ホームにお世話になっています。簡素で、清潔で、職員の方々が温かく、食事は心がこもっていておいしく、このホームのコンセプトが「逢縁機縁」、ほんとにいいご縁だったと感謝しています。
 このホームに入る前は、三十数年私たちの家族と一緒にここ茨城で暮らしてきました。子供が好きな母は、三人の孫娘をとても可愛がってくれました。
 私は、千葉の母の実家のある町で、実家から頂いた七十坪の土地に建っていた古い家で育ちました。父は歯科医で、両親は人も雇わず、一生懸命働いている後ろ姿を見て育ちました。あの時代は、どんな人も一生懸命働いていて、それが自分の遺伝子に刷り込まれているような気がします。
 父母が茨城に移ってきて、しばらくは千葉の家も借り手がいて住んでいましたが、そのうち空き家になり、数年前に母がその土地を更地にして、その頃は町から市になっていたので、市に公園として寄付したいと言い出しました。それはいいかもと私が市に伝えたところ、そこが公園として需要があるかや、市の設備や維持管理の面などで受け入れてもらえず、そのままになっていたところ今度は市に代替え地にと望まれ、そのほしい方が知り合いであったこともあって、買っていただきました。

 前置きが長くなってしまいましたが、結局「いばらき未来基金」の申請が受理されませんでしたので、急きょ私は「ピース・エコ・ショップ」建設費用の寄付を他に探さなくてはならない事態になり、かつての母の「公園に」という願いをここでもっと役に立つ形で実現してもらおうという気持ちになりました。早速ホームに行って相談したところ、以前から会員だった母は、できるだけ「有る物」を活用して、お金は最小限度にとどめるという私の提案で快く賛成してくれました。母が、実家から頂いたものが、茨城の地で形を変えて花開くことができれば、母から子へ代々受け継がれたことになります。

 昨日の定例会で皆さんに伝えたところ、悦んでくれ、これから力をあわせて形にしていきたいと思いますので、ご協力よろしくお願いいたします。