要望書

 この一年間、この拙いブログを読んでくださった方々へ、感謝いたします。お会いしたこともない人や関心を持ってくださった人を結び付けてくれるこのブログの力は、有機的で素晴らしいと思います。文明の利器も使い方、使う人次第で、働きが全然ちがったものになります。
 目に見えない魂の声や、頭の中を透けて見せてくれ、どんなに遠く離れていても、精神的距離を近づけてくれるのが、ブログです。
 今日は、今年の会の活動の総括として、十二月の初めに坂東市に出した要望書を載せようと思います。一寸長いですが、最後までお付き合いください。
 明日は、この要望書に対して市が下さったお返事を載せます。

坂東市吉原英一市長さんへ
 この度は、市の今後十年間にわたる環境基本計画の中に、私達の会の活動内容を盛り込んで頂きまして、ありがとうございました。会員一同、心を一つにして頑張った甲斐がありました。
 そして、坂東市環境基本計画を読ませて頂き、坂東市の全体像や現況を把握でき、市、市民、企業、それぞれの場で問題解決に向けて努力していることも知り、希望を持つことができました。
特に、第五章「リーデイングプロジェクト」の所で、坂東市の環境将来像を「豊かな水と緑の恵みを未来へつなぐまち」と定めている点が、私達が目指している「坂東市有機の里」と重なり、強い共感を覚えました。水の惑星と言われている地球、豊かな自然と食の基地である坂東市を次世代のために更に充実させ、 「坂東市を訪れてみたい」「この市に住みたい」と思う人を増やすことが、平将門から続いているこの地のロマンを今に引き継ぐことだと思いました。
市長さんもすでにご存じと思いますが、国は平成21年バイオマス活用推進基本法を制定しました。そしてこれまでのバイオマスタウン構想に代わって、バイオマス活用推進計画を、今後2020年までに全国600の市町村と全ての都道府県が策定する事を目標と定めています。
これまでのバイオマスタウン構想は、自治体にも半分の助成が付いたとはいえ、失敗例が多かったと聞きます。その原因は現状にそぐわない過剰の設備投資をしたことで、減価償却できなかったり、堆肥が大量に残って活用されなかったりという話をよく聞きました。
これからは国の定めたバイオマス推進基本法に基づいて、自治体の責任と創意工夫で、お金をかけず、省力化で、効率的な堆肥を作って、他の自治体に先駆け、バイオマスを推進していく実行力が望まれます。
私達の会では、3/11という未曾有の国難が日本を襲って以来、一層の危機感を募らせ、これまでバイオマスタウン構想を要望する際に掲げてきた「次世代のため、元気、安心、希望を与える住民参加の有機の里創り」という理念が、いかに今の危機的時代の要請に応えたものであるかを再認識し、坂東市独自のバイオマスタウン構想作成に向かって、皆で知恵を出し合うために「坂東市有機の里創り研究会」という部会を発足させ、そのブログ(坂東市有機の里創り研究会で検索して頂ければありがたいです)も始めました。
一方、NPO法人猿島野の大地を考える会」のもう一つの部会である「四季の会」(私が個人的に宮澤賢治を生きる具現的方法として、ゴミ拾いを約三年間独りでやっていた間に共鳴者が現れ、自然と平成六年に誕生した女性数名からなるごみ関心部会で、それから現在まで十八年間毎週火曜日を活動日に農場に集まり、川の浄化やゴミ拾い、リサイクルハウスの整理、アルミ缶の仕分けなど時に応じてやっています。)の人たちに約一年間光合成細菌による生ゴミ処理法実験(蓋付きのバケツという条件だけで、生ごみをバケツに入れるたびに光合成細菌を散布し、バケツがいっぱいになったら畑に埋めるだけで、光合成細菌は嫌気性なので切り替えし不要で、いい堆肥になります。)をやってもらった結果、これまでのやり方よりも簡便で効果もあるので長続きし、一歩前進と悦んでいた時、県から「地域の課題は地域で解決」というコミュニテ―協働事業のお誘いを受け、「光合成細菌を主体とした生ゴミの活用と安全な社会創り事業」という事業名で申請、採択されました。そのお蔭で、光合性細菌を質量共に安定的に培養、供給できるビニールハウスを建てることができました。又、市の支援を受け、コミュニテ―協働事業のお相手である「坂東市くらしの会」と一緒に「生ごみを有効活用しようフォーラム」も開催することができました。その後くらしの会の人たちが、光合成細菌による生ゴミ処理に取り組んでくれるようになり、又一歩バイオマスタウン構想の実現に近づいたという思いがしています。
次の段階は、自家処理できず、生ごみ可燃ごみとして出している層の人たちの事を考えなければなりません。助成金に頼れなくなった現在は、「有る物」をいかに活用するかが成功の鍵です。
バイオマス」とは、本来「バイオ」は、生命を意味し、「マス」とは集団、集まりを意味しますので、生命の集まり、即ち、動物、植物、微生物を意味し、「バイオマス活用推進計画とは、これら三つをうまく繋げて活用する事を推進するように、国が推奨しているということになります。
また、私達が目指す「有機の里」の有機も、バイオと同じ生命体を意味し、人間、動物、植物、微生物が分断することなく、密接につながりあい循環し、他の分野とも関連させ組み立てて全体を「命や生活にやさしいまち」と一つに統一し、永続性をもたせるという広義な深い意味が含まれています。
次に、EM(有用微生物群)の中の主役である光合成細菌が、いかにこれからの地球の再生に役立つかを箇条書きに示します。
1. 嫌気性
人間と反対で、酸素が毒で、二酸化炭素が必要なので、地球温暖化防止に役立ち、又堆肥作りの時、切り返しが不要なので手間がかかりません。
2. 耐熱性
100度以上の高温でも死なず、セラミック化しても機能を失いません。
3. 人間や環境に、いいものを分泌してくれます。
ビタミン、カロチン、アミノ酸核酸(遺伝子を修復してくれます)
4. 人間や環境に悪いものを、エサやエネルギーにします。
悪臭、二酸化炭素硫化水素、メタンガス、アンモニア、原始時代の自然放射能
5. 連作障害防止に一役買います。
この菌の死体は、連作障害を引き起こす菌を退治する放線菌のえさになります。

私達の会としては、時代のニーズに合って、激しく揺れ動く経済や政治とは次元を異にした、住民力を活用した地域の課題は地域で解決していく住民参加のバイオマス活用推進計画を、平成二十五年度から始まる坂東市環境基本計画の中に組み入れて、坂東市から独自に発信していきたいと考えています。そのために私達の会でもっている試案を実験して、三、四か月後の結果で検証する必要があります。もしその結果がよければ、一地域でモデル事業を実施して、それを坂東市バイオマス活用推進計画の目玉にすることができます。そこで、これから実験的な試行を重ねるにあたって、私達、NPOと市で協働していきたいのですが、ご相談に乗って頂けないでしょうか。
具体的には、実験場所を旧猿島町のリサイクルセンターにおき、実験に使う材料としての生ごみやもみがらの手当てや、簡単な機材の設置や、この実験も含めてバイオマス活用推進計画を担う適任の人材の配置などに、協働をお願いしたいと切望しています。 
最後に、リーデイングプロジェクトにもどって、お話をすすめますと、プロジェクトを代表する5項目の中で、バイオマス活用推進計画は、3のごみ減量化・資源化プロジェクトに入ると思われます。
しかし、それだけでなく、5の環境パートナーシップの形成プロジェクトも大いに関係があると思います。と言いますのは、今私達の会に古河市の二つの小学校から、微生物を活用した総合学習への参加依頼が来ております。小さい時から、微生物に親しみ、生活の中から出る生ごみや米のとぎ汁を活用して、土壌を肥沃に、又、排水浄化と生活、健康改善両方が出来る事を学ぶ事は、環境に配慮した市民を育成する重要な実践教育だと思います。
茨城県で最初にバイオマスタウン構想を申請、受理された牛久市の構想のなかに、
学校関係の事が入っていたことを記憶しています。坂東市には、ビニールハウスを備えた学校があるので、総合学習には最適な環境を有しています。
 そして、このリーデイングプロジェクトをできるだけ網羅して、資源循環型社会を構築していくことが、環境将来像である「豊かな水と緑の恵みを未来へつなぐまち 坂東」に一歩一歩近づいていくことになると思います。
この資源循環型社会を核に、色々なこれまで積み上げてきた、又、これから積み上げていく施策をつないで、坂東市有機の里が実現していった暁には、「坂東市を訪れたい」「坂東市に住みたい」と思う人たちが現れるでしょう。
 そこで、そういう人たちと坂東市バイオマス活用推進計画をつなげるには、その前に温かい受け入れ態勢を考え、準備しておく施策が必要になります。
 
 特に「有機の里、坂東市に住みたい」という人たちへの施策は、大切です。
1. 新規就農者に対する国が行っている生活保障の制度。
2. 農家民宿の制度を広げるために、坂東市に二、三の好例をつくる
3. 市が市内の空き家を全て把握して持ち主と住みたい人の仲介をする、空き家バンクの創設により、安価に住宅が手に入るお手伝いをする。
 上の3項は、私的な話になりますが、私どもの娘が嫁いだ石川県の某町や周辺での取り組みです。参考にする価値があると思います。また、この他にも、農業の高齢化や後継者不足に対する国の施策を調べて、上手に活用することも出来るのではないでしょうか。
 又、今回協働実験をお願いした生ごみ堆肥が成功した暁には、耕作放棄地や休耕地に入れ耕して置き、新規就農者に無償で提供したり、桜並木や公園の樹木に施肥したりすることで、その効果が見る人の知るところとなれば、自然と有機の里、坂東というロマンが形成され、その堆肥の使用も拡がっていくことと思います。

 以上、坂東市が、普遍的価値を有する新しい時代に向けての希望のもてる市になってもらいたく、思いのままを述べたことをお許しください。また、協働実験の件、将来を見据えたご英断をよろしくお願いいたします。出来るだけ早いお返事をお待ちしております。
                                                敬具
 
          NPO法人 猿島野の大地を考える会
                 坂東市有機の里創り研究会