春と修羅

 この言葉は、宮澤賢治が残した唯一の詩集というか、全集の題名です。どうしてこの題名なんだろうと、つらつら考えましたが、この頃この二つは、一日のあるいは一生の人間の心の模様というか、揺れ動きを表しているのではないかと思うようになりました。
 春のような安穏な心境と人間には百八つの煩悩が生まれつき備わっているという修羅の苦しい心境、この二つが絶えずめぐっているのが人間であるというのを、自分の内面を通して、日々感じさせられます。
 だからお互いにそこを認め合い、許容し合わなければ、更に深い修羅に陥り、ぬけられなくなるという厳しい現実が待っているという事を、今私たちはシリアなどの紛争を見るにつけ教えられます。